「ねじの豆知識」 エンザート Vol.5

私たち藤本産業が取り扱っている様々な「ねじ」をご紹介しながらねじの世界を少し味わっていただけたら嬉しいです。
今回はケー・ケー・ヴィ・コーポレーション株式会社製の「Ensat® ―エンザート―」ご紹介のVol.5 “エンザートの工具と機械を用いた挿入”です。

Vol.1 「エンザート」とは
Vol.2  形状
Vol.3 相手材ごとの適性
Vol.4 下穴の設定
Vol.5 エンザートの工具と機械を用いた挿入
Vol.6 エンザートのハンドツール挿入

エンザートを用いると、雌ねじ補強材となるインサートを相手材へアッセンブリ(組み付け)する工程と相手材へめねじを刻むタップ加工の工程が同時に行えるので加工の省力化を図れます。

専用工具

機械加工用の工具と、ハンド加工用の工具が用意されています。

 610型(ハンド工具)
620型(機械加工用)
621型(延長型)
610-1型(小外径用)
610-2型(六角内ねじ用ハンド・機械加工共用)

挿入はエンザートの内ねじを利用します。ですからエンザートのサイズ(呼び径)毎に専用工具が必要になります。

エンザートの工具への装着・挿入の方向

エンザートは自身の切り刃(三つ穴または割溝)がワークにタップを切る為、切り刃を下(ワーク側)にして工具に装着してください(305型は上下方向の区別はありません。309型は切り刃の向きで切削型と塑性変形型に使い分けます)。

307型等の短寸のエンザートを使用する場合、切り粉の排出を妨げない様にスタッド (工具先端部)が三つ穴や割溝を塞がないように調整します。ハンド工具610型の場合は長すぎる分をグラインダーでカットします。
ボルト・ナットでエンザートの挿入を行うこともできますが、その場合もボルト先端で切り刃を塞がないように調整します。

機械によるエンザートの挿入

機械加工に使える専用工具
620型 621型(延長型)
※ 六角内ねじタイプの307-2型 / 308-2型の挿入へは6102型も使用できます。

加工不良を避け工具の保護の為に機械加工では定寸深さで回転を反転させる必要が有ります。反転位置を機械側で設定できるタッパー(タッピングマシン)またはボール盤を使用し、反転位置は事前に機械側で設定。作業者の目測や勘で反転させることは避けます。

エンザート加工専用工具をタッパーへ装着し専用工具のピンが左側にあることを確認します。

下穴の上にエンザートを三つ穴または割溝を下にして真直ぐに置き、機械の回転を利用して専用工具に取り付けます(または機械の回転を止めて工具に直接装着します)。


エンザートが完全に専用工具に装着された時点で送りに少し圧力を掛ければワークにエンザートが喰い付きます。その後は回転だけでエンザートがセルフタップしながらワークへ潜り込みます。


事前に設定した加工深さに達し機械が反転すれば、ピンの位置が右に移動し専用工具だけがリリースされます。

次回はハンドツールによる挿入についてご説明します。

「エンザート」に興味をお持ちの方はどうぞこちらから弊社へお問い合わせください。

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