「ねじの豆知識」 小型・軽量化に効く低頭・小頭キャップボルト

今回の「ねじの豆知識」は、設計の自由度を上げて高密度化・小型軽量化や製造工程の削減に役立つ“小頭・低頭キャップボルト”にフォーカスしました。

ファスナーも変わり続けている!

私たちの世界は、誰も取りこぼすことなくサステナブル(Sustainable / 持続的)に発展(Development)するというゴール(Goals)を目ざして、日々変化し続けています(SDGs)。

産業界も人や環境にやさしくサステナブルであるために、地球の環境を壊さず、資源を使いすぎず、未来の世代も美しい地球でずっと生活をし続けていけることを目指して日々前進しています。

私たち藤本産業が扱っている“ファスナー” も、「人にも地球にもやさしく」を目標に、様々なラインナップが増え続けています。

ファスナー:
「ねじ」をふくむ様々な締結資材全般を指す言葉です。
「ねじ」は「産業の塩」とも呼ばれています。小さなものから大きなものまで形にして機能させるために不可欠な存在なのです。

ファスナーは形状の工夫をして高強度・高耐久・小型化・省資源をはかり、原材料や表面処理などを人や環境への悪影響を可能な限り与えない物質に置き換えてきました。産業と技術革新の基盤を作り、作る責任・使う責任を全うするように今も進化し続けています。

1例に“CAP(キャップ)”があります。キャップスクリューやキャップボルト、六角穴付きボルトとも呼ばれているファスナーです。

キャップボルト

安全ボルトとして誕生したCAPはJIS規格品として広く普及しています。

そしてCAPは小型化・高密度化に貢献する小頭キャップ、固定材の薄型化や工程の省略を可能にする低頭・極低頭キャップ、両方の特徴を1本に凝縮した低頭小頭・極低頭小頭キャップへと進化を遂げています。

参考:キャップボルト(CAP)の特徴

六角穴付ボルトとも呼ばれているキャップボルトは、ボルトとの接触で怪我しないように頭部は角のない円筒形をしています。名前の由来となっている六角形穴のリセス(駆動溝)が頭部の中央にあり、六角レンチを差し込んでねじ込みをする“内部ドライブ”を採用しています。

六角レンチによる締結はカムアウト(ねじを回す時に溝から工具の先端が浮き上がりねじ頭の外へ逃げてしまう現象)しにくいので“強く締め付けることができる”、つまりゆるみに強い高強度の締結が可能になります。内部ドライブのためスペースが狭くても締め付け可能で、設計自体をコンパクトにできます。

またザグリ加工をすればワークへの埋め込み仕上げができます。

キャップスクリューの特徴を別記事でもう少し詳しく説明しています。ご興味のある方はご覧ください。

極低頭・低頭キャップボルト

極低頭・低頭キャップボルトは名前の通りJIS規格キャップボルトの頭部を低く薄くしたものです。頭部径はJIS規格品と同じか同等で各メーカーの規格で製作されています。頭部の高さによって「極低頭」「低頭」等と呼び分けられ、機械製品、自動車やバイク、車いすのような福祉機器まで広く利用されています。

極低頭キャップ

極低頭キャップは“薄い”と表現したくなるほど頭部は低く、相手材が薄い場面で特に活躍します。締付後の頭部の出っ張りはザグリ加工なしでもほとんど気になりません。それで工程削減にも有効です。
頭部径はJISキャップと同じか同等です。リセスの六角穴は低頭キャップよりもさらに小さくなります。

低頭キャップ

低頭キャップは一般的な六角穴付ボルト(JISキャップ)に比べて頭部の高さは半分ほどです。
軽量で、また狭いスペースでの取り回し性が良く、締結後の出っ張りもあまり目立ちません。ザグリ加工も浅くすむので取付け材を薄くして全体の軽量化をはかれます。リセスは標準品より小さくなります。

参考:超極低頭キャップ
市場では「超極低頭」と呼ばれる製品もあります。
極低頭よりさらに頭部が低く(薄く)設計されていますが頭部強度が弱くなり、流通量は多くありません。

小頭キャップボルト 低頭小頭・極低頭小頭キャップボルト

小頭キャップボルト

小頭キャップボルトは頭部が一般的なJISキャップより小径になっています。こうすることで高強度のまま取り付けスペースを最小にでき、製品の高密度化に貢献します。また、同じ頭部径でも呼び径の大きなねじが選べるので、より強度が求められるアプリケーションで有効に働きます。
また、リセスの六角穴サイズがJIS規格キャップボルトと同じなので、工具を共通化できます。

極低頭小頭・低頭小頭キャップ

極低頭小頭・低頭小頭キャップは、小頭と極低頭・低頭、どちらの特徴も備えていて、「あと少し〇〇だったら」の解決をお手伝いします。

これらのファスナーを高密度化・小型軽量化・薄型化・工程の簡素化など、目的に応じて適材適所で用いることで、人にも環境にもやさしい安心安全な製品を効率よく市場に提供できます。

信頼できるファスナーであるために

藤本産業では低頭・小頭CAPを含めたファスナーを安心してご利用いただくために、引張試験をはじめ多くの試験や検査を実施しています。

リクエストをいただけば、試験結果や検査実績書をユーザー様へ通知させていただきます。

関連記事