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「ねじ商社の仕事」―加工品

今回の “ねじの「豆知識」” は「ねじ商社」の扱う“加工品”についてお話します。

皆さんの「ねじ商社」の業務って、どんなイメージですか?

「M8 x 30の六角ボルトを2万本」、「ねじが潰れてしまった。何とかならないか」、「こんなねじを探してほしい」。
こういったオーダーにお応えして、ねじメーカーさんや市場から販売されている該当品を探し出して調達・納入する、でしょうか。確かにこれは私たちの毎日の業務です。

私たちが扱うファスナーの一部

では、該当するようなねじが市場にない、つまり規格品(スタンダード品)ではない場合はどうすると想像されますか。

規格品で必要を満たせないなら、ねじ工場さんと力を合わせて“図面品”や“加工品”と呼ばれる特注品を“製作”して納入する、というのがその答えです。

中には「試作品のために、“ひとつだけ”」というご要望にお応えすることもあります。

画像はイメージです

今回はねじ屋の仕事のひとつである“加工品”のお取引について、私たち藤本産業の業務の進め方をもとにお話しします。

加工品取引に欠かせない“コミュニケーション”

加工品のお取引に際して大切なものは何でしょうか?

お客様との良いコミュニケーションです。

形状、数量の確認はもちろん、材質、寸法公差、仕上げの打ち合わせは一丁目一番地、外せません。

同時に、お客様の最優先事項は何かを把握することも必須です。
優先したいものは強度ですか、あるいは短い納期、それともコストダウンですか? お客様の優先順位を把握できれば、私たちのアドバイスはより有益なものにできます。

提出された図面とサンプルに違いがある場合は、どちらが入手したいのかを確かめます。そして、サンプルに合わせて製作するのであればサンプルを図面に起こしてお客様と確認します。
万が一、誤解したまま製作したファスナー(やそれを含む製品)が市場へ流出してしまうなら、解決のためには商品代以上の多大のコストが必要になってしまいます。

綿密なコミュニケーションを図るために、可能ならお客様にもファスナー生産の現場へご同行いただきます。
要求耐荷重を満たすための加工に指定された材料が向いているか、あるいは不向きかを確認します。素材や加工方法の検討を行い、懸念ポイントがあればしっかりお伝えし、場合によってはそれらの変更をご提案します。

スポット受注(一度きりの注文)なのか継続品なのかによっても加工方法の変更をアドバイスします。
例えば、少量であれば切削加工が費用的にも納期的にも有利です。あるいは、ある程度の生産量が見込めるなら、量産効果で費用の抑えられるヘッダー加工が適しています。 

ファスナーの最終ユーザー様(ファスナーを実際に使用するメーカー企業様)やファスナーの用途の確認も忘れません。細かな規定のあるメーカー企業様や重要な所に使用するファスナーには、仕上げ方から梱包・発送までのルールがあるからです。
この点を確認したなら、ファスナーの製作工場と打ち合わせをし、自社の物流センターにおいても出荷時のルール化を徹底します。 

時には、ファスナーがオーバークオリティーとなっていることに気づくことがあります。そうであれば更なるコスト低減を図るために加工工程の見直しをご提案させていただくこともします。
例えば、切削品をヘッダー品への追加工へ変更するならローコストの同等品を得られること、あるいは、生産ロットを増加させるなら1本単価を下げることができる等です。 

このようして、お客様の「こんなねじが欲しい!」にお応えして“最適な”ファスナーを製作し、納品します。

画像は加工品イメージです

 今回は特注品ファスナー(ねじ業界では “加工品” と呼ぶ)の取引を駆け足でお話しいたしました。

「加工品のねじを1本!」というオーダーに、多くの協力工場様の力を集結させて迅速に対応できるのがねじ商社の強みであり、また存在意義だと自覚しています。

 私たちねじ商社のことを皆様に知っていただけるよう、これからも「ねじ商社の仕事」をお伝えさせていただきます。

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