「ねじの豆知識」 エンザート Vol.3

私たち藤本産業は締結資材「ねじ」の専門商社です。様々な「ねじ」をご紹介しながらねじの世界を少し味わっていただけたら嬉しいです。
今回は雌ねじ補強用インサートナット「Ensat® ―エンザート―」のご紹介 Vol.3 “相手材ごとの適性”編 です。

Vol.1 「エンザート」とは
Vol.2  形状
Vol.3 相手材ごとの適性
Vol.4 下穴の設定
Vol.5 エンザートの工具と機械を用いた挿入
Vol.6 エンザートのハンドツール挿入

相手材ごとの適性

エンザートは相手材によってタイプを使い分けます。

金属材料


鋳鉄
快削性のある鋳鉄は割溝タイプ 302型(快削鋼製)を用います。

302型
スタンダードの割溝 

タップオイルや切削油を使用すると作業性が向上します。
ステンレス製エンザートでは加工できない場合があります。


軟鋼
快削鋼製の三つ穴タイプ307型(短寸タイプ))または308型(長寸タイプ)をタップオイルを使って使用します。

307型(短寸/ 308型(長寸)
スタンダードの三つ穴

エンザート専用タップにより一部にタップすると挿入しやすくなります。
ステンレス製エンザートでは加工できない場合があります。


アルミ鋳物
快削性のあるものは 割溝タイプ302型を使用します。時効硬化処理したものや難削性のものは三つ穴タイプ 307型 / 308型を選択。


アルミ型材
難削材や高強度材は三つ穴タイプ 307型 / 308型を使用。


アルマイト処理したアルミ
エンザートの使用は困難です。
下穴の硬化部分を取り除くかエンザート専用タップで一部にタップすることで使用できます(307型 / 308型を使用)。
予め下穴を開けアルマイト処理を行うと、エンザートが割れる場合がありますので使用は避けてください。


高強度アルミ・ステンレス鋼・焼き入れ鋼
これらの相手材に対してエンザートは通常使用できません
あえて使用する場合は最大下穴径の下穴を開け、エンザート専用タップでエンザートの長さ1/2から2/3程度の前タップをし、 307型 / 308型 を使用します。

※ エンザート専用タップ併用の際の注意
難削材であるほど深くタップを切る必要が有りますが、最後の2~3山分は必ずエンザート本体によるセルフタップを行い相手材にロックさせてください。全長分全てにタップを切ると、雌ねじとしての機能を果たせなくなります。

プラスチック


可塑性の高い樹脂 (塩ビ、デルリン、ABS等
割溝タイプ302型 または ねじ塑性変形タイプの305型 を使用します。305型は切粉が出ません。
三つ穴タイプの307型 / 308型 も使用可能です。

写真 305型


硬く割れやすい樹脂(ポリエステル、エポキシ、ポリカーボネイト、FRP等)
三つ穴タイプの 307型 / 308型 を使用。

木材


軟質木材・パーティクルボード
超粗目タイプの309型 を雌ねじ塑性形成式【割溝を上にして挿入】にて使用。

写真 309型


硬質木材
302型 または 309型 を使用。

相手材ごとの適性のご説明は以上となります。次回はエンザート使用のポイント“下穴の設定”についてご説明いたします。

「エンザート」に興味をお持ちの方はどうぞこちらから弊社へお問い合わせください。

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