「ねじの豆知識」 六角ボルトの基礎知識 Vol.1 六角ボルトとは
藤本産業は締結資材「ねじ」の専門商社です。ですから取り扱い商材の締結資材 「ねじ」とその関連商品です。「ねじ? だけ!」と驚かれるかもしれませんが、実は奥深い世界が広がっています。私たちが取り扱っている「ねじ」のあれこれをご紹介しながらねじの世界を少し味わっていただけたら嬉しいです。
これから六角ボルトを5回にわたり取り上げます。
Vol.1 六角ボルトの基礎知識
Vol.2 六角ボルトの ねじ山
Vol.3 強度区分
Vol.4 「本体規格品」と「附属書品」
Vol.5 締結・用途・バラエティー
今回は「六角ボルト」の基礎知識です。
普段気に留めることはなくても、ちょっと目を凝らせば家の中でも街なかでもあらゆる場所で見つけることのできる「六角ボルト」。一般的に『ボルト』というとほとんどの人が思い出す、ねじの基本形とも言うべきこの六角ボルトについて解説します。
六角ボルトとは
六角ボルト(JIS B 1180)はその名の通り、ボルトの頭部が六角柱形の形状をしたボルトです。
「ねじ」は螺子、捻子、捩子、螺旋といくつもの漢字で表されます。軸部分の外側(側面)にらせん状の溝が入ったものを「おねじ」、内側(内面)にらせん状の溝が入ったものを「めねじ」といいます。
英語ではめねじをもつナットと組んで使われるおねじの総称のことをボルト(bolt)、ナットと組み合わされないものをスクリュー(screw)ワークに埋め込んでおねじを形成するものはスタッド(stud:植え込みボルト)と区別され日本でもこれに倣った区分を用語として用いる場合があります。
六角ボルト 各部の名称
ボルトの軸の部分を軸部や胴、また首下と呼びます。工具を掛けて廻す駆動部分を頭、ボルトの締め付けの際直接荷重を受ける部分を座面と呼びます。
首下の長さをねじの「呼び長さ(図 L)」と言い、ねじ部の外径を「呼び径 (図 d1)」または「ねじの呼び」と言います。これらが通常ねじを購入する際の「径と長さ」とされます。六角ボルトの場合この長さに頭部を含めないのでご注意ください。
六角ボルトの使用の際には同じ「呼び径」のボルト(雄ねじ)とナット(雌ねじ 雌ねじの場合「呼び径」谷の径になります)を組み合わせます。
また六角ボルトの「二面幅(s)」や「対辺」とも呼ばれる寸法が六角ボルトを締め付ける工具のサイズを示す数字になります。そして図面(e)は「対角」と呼ばれます。
全ねじ・半ねじ
首下が長くなると、全ねじ(先端から首元までねじが切られている 押ボルト とも呼ばれます)と半ねじ(先端から首下の途中までねじが切られている)の2種類となります。
半ねじには軸のねじの切っていない部分(円筒部と呼びます)の外径がねじの外径(呼び径)と等しい「呼び径六角ボルト(胴太)」、軸の外径がねじ径より細くなっており、太さは転造下径(ねじ切り前のブランクの径)の「有効径六角ボルト(胴細)」とがあります。
ねじ部の長さ
首下長さの短いサイズは「全ねじ(首元までねじが切られている)」のみとなりますが、首下長さが長くなるにつれて「半ねじ(首下の途中までねじが切られている)」と全ねじの2通りに分かれます。半ねじ / 全ねじの境目はボルトメーカーにより異なる場合がありますので注意が必要です。また、「半ねじ」は胴の半分がねじ部ということではありません。
※ 特に指示がない場合、全ねじ・半ねじどちらもあるサイズは‘半ねじ’が優先されます。全ねじが必要な場合には、“全ねじ”と明記する必要があります。
半ねじボルトのねじ長さは、ねじ長の計算式に基づいて製作されています。基本的なねじ長の計算式は以下の通りです。
首下長さ(L) ねじ長さ(d=ねじ径)
~129㎜ b=d×2+6
130~219㎜ b=d×2+12
220㎜~ b=d×2+25
※ 上記計算式に基づく長さはあくまでも目安であり、実測値と異なる場合があります。使用に際してねじ長さを重視される場合は、購入前にご確認いただくことをお勧めします。
「六角ボルト」を概観した「ねじの豆知識 六角ボルト Vol.1」はお楽しみいただけましたか?
次回Vol.2のテーマは「ねじ山」です。
ねじ山の規格やその歴史についてお伝えします。