ねじの豆知識「アンカー」 第六回 「あと施工アンカーその3」
締結部品「アンカー」は構造物を基礎に確実に連結し、移動や転倒を防ぐために使われる、錨(アンカー 英 anchor)のように地面(基礎)や壁面に構造材や部材を固定する役割を果たすファスナーです。コンクリート打設後に施工する「あと施工アンカー」についてもう少し考察します。
ねじの豆知識「アンカー」
第一回 「アンカー」と呼ばれるファスナー
第二回 「埋込(先付)アンカーボルト その1」
第三回 「埋込(先付)アンカーボルト その2」
第四回 「あと施工アンカー その1」
第五回 「あと施工アンカー その2」
第六回 「あと施工アンカー その3」(本稿)
第七回 「ボードアンカー」
「その他のアンカー」
「その他のアンカー」は「あと施工アンカー」の中で金属系アンカーや接着系アンカーに含まれないアンカーです。「その他のアンカー」は素材で分類すると、金属系とプラスチック系の2種類に大きく分けられます。また機構に注目すると、打込み式・ねじ込み式・はさみ固定式・ねじ固定式の4種類に分けることがなされています。
この分類のアンカーは、コンクリートだけでなくALCやブロック、レンガなどに部材を取り付けるために利用されます。中空壁の石膏ボードに利用されるボードアンカーもこの分類に含められています。
ねじ固定式
ねじ固定式アンカーを簡単に説明すると、インパクトドライバーを使用して孔にねじ込む、ねじの形をしたアンカーです。


頭部は六角形や十字穴の駆動溝(リセス)の付いたもの、専用のソケットへ取り付けるように特殊な形状をしたものなどがあります。ねじ山がコンクリートへねじ切りして固定されます。下穴をあけた後インパクトドライバーで締め付けるため取付作業がスピーディーに行えます。取付物の上から作業できるのもメリットです。端部・仕上材が割れにくく隅部・天井部の施工も簡単、そして、インパクトドライバーで逆転させることでアンカーの抜き取りが簡単にできるのも大きなアドバンテージです。
プラスチック系“ねじ込み式”
アンカープラグと一般に呼ばれるナイロン製やポリエチレン製のプラグで、下穴に挿入して配線、配管、装飾工事などでの軽量の取付物を木ねじ等で固定できます。

プラスチックの特徴として耐蝕性、耐薬品性、耐振動性、耐寒耐熱温度に優れ、強靭で金属製よりがたつきません。製品によりコンクリート、ALCパネル、タイル、モルタル、ブロック、レンガ等の様々な母材に対して使用できます。挿入のしやすさや共回りを防ぐために工夫された様々な形状があります。
下穴を穿孔しダストポンプ等で掃除した後プラグを挿入し、取付物をセットしてねじ止めします。


プラスチック系“打ち込み式”
一般にネイルプラグと呼ばれる、拡張するプラスチックアンカーにビスをセットしたアンカーです。穿孔した下穴に挿入してハンマーでの打撃により固定できます。ハンマーの打撃で固定できるためスピーディーに作業できます。また、取付物を母材に強力に密着させることができます。さらに、取り外しはドライバー1本で手軽に行えるのも特徴です。
あと施工アンカーの「規格」
意外なことに思えますが、JISに「あと施工アンカー」の規格はありません。しかしながら、安心して使用できるよう関連する業界団体による認証制度あります。
例えば、「一般社団法人日本建設あと施工アンカー協会(Japan Construction Anchor Association)」(略称:JCAA)は製品の認証について、「あと施工アンカー製品について、品質・性能試験成績証明書等、品質性能に関する諸申請資料を本協会の第三者機構的委員会である認証委員会が評価認証基準に基づいて審査し、所定の品質性能が確保されていることを認証すると共に、認証製品を広く紹介しています。」と述べています。また、あと施工アンカーの施工、管理に携わっている技術者の知識・技能を認定する資格の付与、あと施工アンカーの基礎的な知識を習得する為の技術講習会の開催を行っています。
また、「空気調和・衛生工学会」(暖冷房・換気、給水・排水、衛生設備などの設備やその仕組み・原理などを扱う学問領域で活動する学術団体)は機器・配管・ダクト等を取り付けるための「建築設備用あと施工アンカー」の製品規格(SHASE-S012-2021 建築設備用あと施工アンカー)を定めています。
こうした団体の取り組みにより、「あと施工アンカー」は安心・安全に使用できる建築用ファスナーとして欠かせないものとなっています。
次回予告
次回は「ボードアンカー」と呼ばれるファスナーに注目します。


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